牛若丸と覚えてもらおう

主殿(あるじどの)、どうか指示を！

いざ！

抜きつけ、構え！

はい！

お任せを

承知！

鬼一(きいち)が兵法、受けてみるか！

はっ！

たっ！

やあっ！

悪鬼(あっき)、必衰(ひっすい)！

『壇ノ浦・八艘跳(だんのうら・はっそうとび)』！！

おのれ……！

あいたっ！

主殿……いと済まぬ……

兄上……お許しを……

ふぅ。精一杯尽くしました

兄上には及びませんね。出直してください

牛若丸、罷(まか)り越しました。武士として誠心誠意尽くさせていただきます

ぽんぽこ、りん……

すみません、次もお願いします

これが霊基再臨……気持ちいい……

こんなに五感が鋭く……ここまで強くなれるなんて……！

ご覧あれ、主殿。この牛若、武芸の極みに達しました

何事も規則正しく、です。主殿。いかに主殿といえ、だらしのない習慣は、容赦なく叱りますから、そのつもりで

頼朝(よりとも)──兄上の事ですか？　勿論、兄としても武士としても敬愛しております。自慢ではありませんが、世界で一番優れた兄だと断言します

私も遊び心ぐらい持っています。子どもの頃はやんちゃでしたから、大人をからかうのが趣味で常陸坊(ひたちぼう)を困らせて高笑いの毎日です。いっ今はそうではありませんが、全力で自重していますとも！

戦を怖い……と思った事はありません。私、こう見えて天才ですから。どんな戦場に送り込んでも生還する、と兄上はよく言っていた程です

何度裏切られても、やっぱり私は誰かの為に戦いたいです。主殿が許してくれるのなら、最期まで一緒に……いえ、なんでもありません

主殿、そろそろお立ちください。いつまでも横になっているとタヌ……あ、いえ、牛になると言いますゆえ

無論、兄上同様、主殿にも誠心誠意お仕えします。その、主殿が私に不満がなければ、ですが

サーヴァントの何たるかは心得ています。何でも言ってください

弁慶……？ そなた弁慶か！？ では、あれをやってみろ。白紙写経の斉唱だ。何、できない？ では跳べ、跳んで小銭を私によこせ。何、それもできない？ 成程──貴様、あとで寺の裏に来るがいい

我が兄、源頼朝(みなもとのよりとも)についてですか？ はい、大好きです！

嫌いなもの？ 高いところは、少し……鵯越(ひよどりごえ)など二度とやりたくありません

聖杯にかける願いは決まっています。兄上と、また仲良く出来れば牛若は嬉しいです

何か動きがあったようですよ。私の勘が囁いてます

誕生日、おめでとうございます。歳を重ねるのは良いことです

殺してしんぜよう

ふふっ、手足は邪魔だなぁ？

そこだっ

ふっはははははは！

醜いな

屍を晒すがいい

その首、目障りですね……堕ちろ！ 『壇ノ浦・八艘跳』！

うううぁぁぁあっ！

づうっ

無駄なことを……

これで勝ったと思ったか……！