さて、それでは執筆を開始します。残り二人、頑張ってください

いま吾輩は執筆で忙しいのですけれど？　戦えとか、そんなこと言われても

リア王の受難！

ロミオの悲嘆！

ふうむ！

なるほど！

いいでしょう！

いざ開演の時！

詩を贈ろう！

悲劇を贈ろう！

喜劇を差し上げよう！

風よ吹け吹け！　吹くがいい！

我が宝具の題名は、『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を(ファースト・フォリオ)』！　開演！

うぅぅっ

あだっ

まだ……締切には間に合う……ぐふっ、はず……

タンマ！　せめて結末を書かせて……おくれ

勝利ですな。ところで敗北者の方々、今のお気持ちを聞かせてもらいたい

勝利を獲得しましたぞ！　では、記念に詩を作りましょう

キャスター、シェイクスピア。ここに参上しました。さあ、物語を始めようではありませんか！

原稿が捗ってますぞ

吾輩の物語は、まだ道半ばですぞ

吾輩の本は素晴らしい！

終わりが見えてきましたな。しかし！　ここからが肝心です！

ここが果ての果て。吾輩の詩は金剛石よりもなお不滅でしょう！

ふうむ、些か肩が凝った。おや、マスター。ちょうど良いところへ

では、マスターに言葉を贈りましょう

ふうむ、ならば、マスターに詩をお贈りしましょう。泣けること請け合いですぞ

ほぉーうほう、では物語をお送りしよう。貴方の人生がいかなるものであれ、波乱万丈に仕立て上げてみせよう

あなたの物語が幸せな結末を迎えられますように！　どれほどの悲劇でも、あなたの歩みが力強くありますように！　喜劇であれば、最後に誰もが拍手喝采できる喜劇でありますように！

旅に出るべきです！　旅に出て、美しいものを見るべきです！　滅ぶ前に！

それでマスター。今の気持ちをお聞かせ願いたい

ええ。吾輩何の役にも立たぬサーヴァントですが、それが何か？

好ましいものときましたか。フハハハ！　吾輩は、言葉と文字に隷属した存在です

嫌いなものなど言うまでもない。凡人をこそ、吾輩は忌み嫌う。彼らはアントニーに容易く操作される人々だからです

聖杯にかける望み？　この世をもっともっともっっと面白く！

さあ！　王国が貴方を待っていますぞ、マスター！　馬を引いて差し上げよう

おやマスター、誕生日ではありませんか。即興ですが、詩をお贈りしましょう