クゥーッ、冷やっこい甘酒飲みてェ！現の夢の、画工の足掻きサ。

ふあぁ…とと様ぁ…きゃっ！まだまだ青かったな…こりゃァ…はぁ…負けたァ… 精進して出直すさ…

そぉら、ぶんまわしだっ！画竜点睛！おまけがどっさりだ。墨だ、とと様！唐筆取らば荘子の如く！

乗ったぁ！なんのその、だ。キョンと突こうか！

ま、炊事に掃除家事諸々はご勘弁な。

心機一転、霊騎改めでござい、ってねェ。ん？おいおいマスター、そんなしげしげ見つめたって、外見はちっとも変わっちゃいねえサ。…はぁ、水着じゃなくて、俺を見てた…

この水着とやらも結構気に入ってるよ。風呂屋の湯文字みてえでスカッとしていいやァ。とと様は…元より素っ裸だしなァ。

おっと、悪いねェ。生憎お着替えはなしだ。こいつは俺の一張羅さ。どうだいマスター？今の俺、お江戸の仙女かお侍、どっちに見える？

俺は、とと様とは違う。しがみつくのは粋じゃねェ。

あっ！丁度いいねぇ、マスター。一つこのおみくじを引いてみねえかい。この捻った煎餅をな…あぁ！飲み込みやがった！

絵師を殺すにゃ刃物はいらぬ。締め切りの三つもあればいい。おお怖い怖い！怖いのけんと丸飲みだァ！

剣の修業もそうなんだがね、俺の夢は仙女になることだ！水滸伝やら西遊記やら唐繰の伝記に顔を出すような男にも負けねえ、知恵物で滅法強い、花のごとく艶やかに千変万化の仙術を使うそんな仙女になぁ…！んん？もう粗方願いがかなってねえか！？なあ、マスター！ふふっ！……なにィ、とと様？ひとっつも成し遂げちゃいねェって？チェッ！知ってたサ。

虞美人といやァ、俺でも知ってる悲運の美女だな！それがなんと、カルデアの古株で、しかも！不老不死の仙女様だったとは驚きだ！ここは一つ、どうにか折り入って頼み込んで、マスターと一緒の後輩にさせてもらいてェなァ！

そうそうマスター、例の件考えてくれたかい？仙女様、天女様、玉藻の前様にぜひとも弟子入りをな！……え？仙女というより、嫁入り修行をみっちり仕込まれる？ひゃあっ！そりゃ御免被る！

妙になつかれるのサ、あの南蛮娘のアビゲイルとやら。って、なんだぁ？サークルてつぼうぬらぬら、って…いきなり言われて甘酒吹いたじゃねえか。……ん！？元はとと様が付けた雅号？それは無理じゃねえか、とと様！？

んにゃ…いけ好かねェや。あのアマ、この俺を封印した黒歴史だなんて嘲やがって！面拝むのもムカムカする！…まあ最も、同じ顔だが… なあ、マスターは俺の味方だよなァ？…ん？できる範囲で仲良くしろって？クゥーッ、後日気が向いたらナ！

何が苦手って…あ、あれサ… 恋バナ、ってのがどうにも鬼門で… や、やめとくれよ！？マスターも遠慮なく切るからな！？

高家筆頭・吉良上野介の一の家臣にして凄腕の剣客が、何を隠そう、とと様の曾じいさんだ。