ごめんなさい倫理くん。だから私は、あなたの元を去る。あなたを裏切る。なのに、そんな顔で送り出してくれるの？そうやって私に諦めさせることを諦めさせる？なら、わかった。私はあなたから。たった一つだけ初めてを貰って、たった一つだけ、初めてをあげるわ。

ごめんなさい倫理くん

ごめんなさい倫理君。だから、私はあなたのもとを去る。あなたを裏切る。

それでもいい。私は彼を、新たな道へと導いた初めての女になるのだから。クリエイターの道という地獄への入り口に、ね？

なのに、なのに、あの女、あんなすごい企画を柏木えりと一緒につくるチャンスを与えるなんて、そんなの断れるわけ、ないじゃない？

思い出すだけで悔しさで腑が煮えくりかえるわ

どうして、この霞詩子が、あの単なる同人誌作家の柏木えりよりも格下扱いされなくちゃならないのよ

世間に、あの高坂あかねにそんな風に見られるなんて許せない

めくれて執念深い嫌な女、そんな孤独なCharacterの物語の中での恋が終わっただけ

これでひとつの恋はおしまい

まあそうやって、どこに突っ走ってしまうか分からない所や、人の気持ちに関係なく自分の気持ちを伝えるところに惹かれたのだから、しょうがないのかもしれないわね

人がどう思うと構わない

とても馬鹿馬鹿しくて、とても惨めたらしくてとても、気に入らない動機だけれど、それでも感動してしまった方の負けなのよね

そう、もうそんな前になるのね、澤村さんに初めて出会ったのは

そうはいかないわよ加藤さん。あなた、私と倫理君の旺盛を邪魔しておきながら、ちゃっかり自分は二人きりの時間を過ごしていたじゃない。

そうはいかないわよ加藤さん

そうよ！加藤さん

そうよ加藤さん。あなたもメインヒロインを名乗るからには、もっと人の目を意識するようにしなさい。それも扇情的にね。